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時空を越えたギャンブラー(8)

使えるカネはあと400円。出来れば土曜日の午後までそこから100円残したい。
明日、明後日を100円で乗り切れば200円も残り楽勝である。なにはなくとも食い物の
調達が全てを可能にする。

まずはパチンコ屋の確認。閉店が近づく時間になると、余り玉でもらう菓子を捨てるやつが
出て来る。まずはそれを頂くことにした。

「まるで乞食だな。」

苦笑いしながらも早速歩き始めた。しかしながら、換金所付近にそのようなものはあまりない。
飴玉が多少ある程度だ。

思い返す。当時の換金は200円単位が普通で、余り玉はチョコレートと飴が普通だった。
それが500円単位になってから大きい菓子が増え、パチンコに家族に内緒で行っていたやつらが
捨てるようになった。そういう事だ。

「まいったな。全然ないや」

半分位吸ったタバコが換金所付近の灰皿に、薄っすらと煙を立てていた。
辺りを見回してから口に挟み思いきり吸い込む。

「軽いな・・・」

今日は慣れない歩きで疲れている。もう寝床探すことにした。
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時空を越えたギャンブラー(7)

「今の手持ちが500円だろ・・・」

土曜日のたんぱ杯、勝つのはノーザンコンダクトで間違いない。翌年のスプリングSは
このレースを参考レースで見て、その鮮やかな差し切りを見て本命にしていた。

土曜日まではあと3日。そして有馬記念の時までに100円多く残せば1万円多く手に出来る
事になる。仮に明日、明後日を金を使わずに過ごし、土曜日のレースまで500円残れば
仮にオッズが2倍だとして千円になる。それを有馬記念に全部突っ込めば一気に10万だ。

「やばい、更に金杯でそいつが数倍になっちまう。」

夢が広がり過ぎて来た。最初は有馬記念で1万欲しい、それで十分だった。が、一度上をみると
際限が無くなってしまうのはギャンブラーの性なのだろうか。しかも今回は目の前に万馬券が
転がっているのである。

「食い物さえなんとかできれば・・・」

疲れていたはずだが、彼はまた行動を開始した。

時空を越えたギャンブラー(6)

ゆっくりと歩いた。夕方には大竹と言う街に着いた。知らない地名だ。
まだ6時前だが年末も近づくこの時期、もう完全に日は落ちている。
バスの停留所のゴミ箱に、今朝のスポーツ紙が捨てられている。若干の抵抗はあったが
それを手に取り裏道に入り、適当な明かりのある所の地べたに座った。

「疲れた・・・」
こんなに歩いたのは何年ぶりだろうか?いや、ただ歩くと言うのでは初めてかもしれない。
残り2枚になっていた食パンをかじりながらスポーツ紙の競馬欄を眺めた。
見事なまでにダイユウサクはノーマークだった。彼は薄ら笑いを浮かべ、
「それはそうだ。単勝万馬券だからな」
俺だけが知っている、そんな優越感があった。結果を知っている博打を打てる。
これは全てのギャンブラーの夢かもしれない。

その隅に土曜の重賞の出走予定馬が出ていた。うっかりしていた。有馬記念に気を取られて
土曜日も競馬があることをすっかり忘れていたのだ。

「ラジオたんぱ杯か・・・あっ・・・!」

見覚えがある。
「こいつはたしか来年の春に人気で飛ぶ奴だ。本命にしてたっけ・・・」

真一は色々な計算を始め、どう日曜を迎えるのがベストなのか再考し始めた。

時空を越えたギャンブラー(5)

「よし。いくか」
気合を入れて歩き始めた。空腹であったが、金を使うにはまだ抵抗がある。
昼までは我慢しよう。そう決めた。酔いは醒めているが、昨夜は飲み過ぎている。
公衆トイレの水飲み場で水を飲んだ。美味い。
歩きながら色々な事を考えた。どうしてタイムスリップしたのか。元の世界では俺を探して
いるのだろうか。そして、始まったばかりのこの旅はどう終わるのか。

出来れば元の世界に戻りたい。だがその方法が分からない。
「とりあえず生きる。話はそれからだ。」
自分に言い聞かせた。

見た事のない道を歩き続けた。4日後に広島に着けば良い。無理はしないで1日で20km、
それで十分間に合う。岩国の街を通り過ぎる。知らない街を見るのは嫌いではないが、今は
そんな余裕はない。

昼前にスーパーに寄った。おにぎりが食いたかったが、それより安い食パンがあった。
100円玉が1枚無くなった。6枚入ったうちの2枚を裏通りを歩きながら食う。美味くはない。
それでも少し胃が落ち着いた。

「夕方までに20k、歩けるかなあ」
食パン4枚をぶら下げて歩き続けた。

時空を越えたギャンブラー(4)

彼がマックイーンの名を新聞で見た時、とりあえず生きてはいけそうな気持になった。
四日後の有馬記念、ダイユウサクが勝つ。しかも単勝は万馬券。百円残せばとりあえず
生きるための金は手に入る。元の世界に戻れるかは分からないが、この頃の重賞の勝ち馬は
ほとんど記憶している。そのうち大金も手に出来るだろう。

その前にここがどこなのかが分からない。最寄りの競馬場かWINSに四日以内にたどり着け
なければ野垂れ死にだ。広い道を探して歩き始めた。それなりに大きな町のようだ。
少し歩くと大きな道が見えた。

「国道2号線、岩国まで3km・・・」

いまひとつ分からないが岩国は中国だろう。だとしたら広島が近いかと思った。彼も少し冷静になって
いる。コンビニに入り道路地図を見た。国道を東に向かい、50kmで広島らしい。

500円で広島まで歩く。彼にはそれしか術がないのだった。
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Author:tukasa
博打に関係したブログを書いて行きたいと思う

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